患者の言うことは疑ってかかるべし

まだまだ夏の暑さが足りませんね、下半身のむくみが一層酷くなっていることでしょう。

急な体重増加は脂肪ではありません、それは排水の出来ていない水分です。

スイカで乗り切りましょ!


今日のお題は 訴え者、患者。
日常の診療現場でこの様な質問をされる事があります。

お腹を触ると冷たくて冷えている!
そんな時に限ってお腹をこわすことが多いので、これを治療してください。

はい、きっちりと全否定から入ります。
訴え者患者さんがお腹を触っている場所の多くは
上腹部、腹診専門の書物的に言う胃土、心窩と表現します。

f:id:Touyouigakunomyoushindou:20160801181919p:image夢分流では大概この部分を示すことが多い。

我々の職業はある意味で腹診の専門家、腹のプロであります。

ですから、腹の状態がどうなのか、形はどうなのか、今の腹の形となってどのくらいの期間なのか、どのように緊張があるのか…枚挙に暇がありませんが。

この患者が言うような寒熱(冷たい 熱い)に関しては実はプロの熟練が必要となる

素人が触って冷えている、熱い、などどいう代物ではないのである。

 

であるからして、鍼灸師漢方薬局がこのような症状をそのまま受け取ってしまい、それを弁証に取り込むなど言語道断、漢の方を舐めては困る!!

 

大概この様な腹の形相の者は腹(胃)が飛び出ており、そこだけに大量に汗が発生し、その汗によって表面的に温度が下がった状態を指し占めている、多くは食い過ぎが理由である。

 

また、胃の部分だけが冷えていると思っているが、それ以外の脇腹なども同じ様に発汗による冷えを呈している。

この患者の場合下痢を対象として、あたかも胃の冷えと下痢が因果関係で結ばれていると仮定しているが、ほぼ、食い過ぎによる胃の自浄作用による下痢が大半を占める。

 

昔の患者の話だが頻繁な下痢(匂いの強い排便臭)それにともなう痔瘻、時に襲う胃の痛み、これなど漢方でいう調胃承気湯に他ならない(胃の下痢を引き起こし胃内部の洗浄・浄化促進)。

 

適切に説明し投薬を進めたがお腹がゆるくなるのなら嫌だと言って三歳児の様にだだを捏ね、毎日強烈な下痢止めを服用していた。胃の内部にたまった毒物は外部に放出されないために更に滞るため、行き場を失った胃の熱は思考回路に影響する様になったためか、元来初診からあったチック症状が恐ろしく強烈とかしていた。普通に接客はできなかったであろう。。。。

 

口からは焼肉、ステーキ、フレンチと贅のあふれんばかり…現世利益の極み    きっと不幸な最後が待っているだろうこと。 と、人間は大いにバカな生命体なのだ。

 

折角なので、では、本当に冷えている状況とはどのようなものなのか古典から引用してみると

f:id:Touyouigakunomyoushindou:20160801193011p:image当帰四逆湯ならびに当帰四逆加呉茱萸生姜湯の図が参考になる。

 

f:id:Touyouigakunomyoushindou:20160801194609p:image先程の腹診の図で説明すればこのようになる。

腰以下より永年にわたる久寒が右の下腹部に居座っている状態を示している。このような場合、手を添えてやると皮膚に触れた瞬間は冷えた感覚は無いが、持続して押さえていると、だんだんとジワジワ手のひらが冷えてくるのが分かる、それを時間を追ってこちら側が暖めてやるぞと意気込んで充てがっていくが、逆にこちらの手の温度が奪われ感覚に陥る。現代医学で言えばベイチェット病や慢性関節リウマチそれら膠原病の範囲に多く見受けられる。

 

この様に呉々も患者の言うことを鵜呑みにして弁証に加味しないでいただきたい。

漢方はそんな甘いものでは無い!

 

とはいえども、これらの診察すらまともにできる鍼灸師さんはほんの一握り。。。。。