黄帝内経と老荘思想

我々が向き合う根本経典である黄帝内経 素問9巻 霊枢9巻

これらは東洋医学学習の基本経典であり、混沌とした気の世界をここまで形と為したことは

当時の中国人には恐れ入るものがある。

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これらは当時より老子荘子の学説を多く含んだものだ、あるいは黄老学的思惟方法で書かれているなどとされてきたが、最近の研究者によってどうやら違っているということが判明したらしい。

 

熊野弘子氏の研究によると黄帝内経内部の養生的発想には次の6種類がある

1医学的養生思想  医学的完治から身体を養生し、大切にすることを説くもの、また病気予防の養生

2儒家的養生思想  欲や感情などを徳などにより抑制 道徳的修養によって修己修体をめざす

3道家的養生思想 荘子の養生説に代表される  道家にとって養うべき生とは、道にかなったありかたと    

                             しての生であり、一般的な意味での現実的・日常的な生ではない。無為自然な養神

                              的養生

4神仙的養生思想  辟穀(へきこく)服餌(ふくじ)行気(ぎょうき)導引・房中などによって果てしない  

                             不老長寿を目指す養形的養生法

 

5貴生・全生的養生思想  列子呂氏春秋み見られる 個人主義的な処世のあり方を説き、自己の生命・

                                        身体を最大限尊重して現実の生を全うすべきことをとなえる。

6仏教的養生思想    雑念を払って欲を断ち、清貧を旨とし、慈悲の心を持ち、感情が精神および体を損

                               なわぬように心がける。現世よりも来世のために修養する、心身一如を目指し、

                               心身両面の病を癒すことを目的とする。

 

以上を踏まえ検討した結果、 黄帝内経には呂氏春秋や管子・荀子孟子など儒家思想が多く取り入れられており、従来から言われてきた黄老や老荘思想とは違ったものであったようだ。

黄帝内経が編集される際にもあらゆる諸子百家を網羅し宇宙と人体の秘密をもっとも優れた事実として捕まえたことがわかる。